003:荒野 「……ん…」 触れる度 羽根のように零れ出る吐息をもっと聞きたくて オイラは手をのばす。 窓から差し込む僅かな月明りのもと 白い躰を抱く。 感じるのは 飢餓。 更にと求めるオイラは乾いた土で、そんなオイラに与えるお前は 優しい雨みたいだと いつも思う。 「アンナ」 オイラの下で ぎゅっと目を瞑り、小さく躰を震わせている 最愛の妻の名を。 「目、開けて」 呼んで。 オイラを見てほしくて。 「…よう…」 ゆっくりと 開かれる瞼。 その 潤んだ瞳に映る自分の姿と 幾らか水分を含んだように聞こえる声に 安心して また 心が騒ぐ。 お前がいなきゃ オイラどうなっちまうんかな。 思ったままを囁いたら、それは逆だと 微笑まれた。 |
荒野→水分が足りない→足りない→嫁が足りない… |
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